私の今の悩み、というか悩みというような軽いものではない、苦悩そのもの。

 

「夢」やワームは「night creature」なので、夕方から活動が活発になり、夜中に何度も起こされて、眠ることができなくなること。そして、たびたびの短い睡眠と目覚めを繰り返し、その目覚めのときには、見た夢のイメージが残っている。それは不幸な未来ばかりで、もちろん苦しいもの。

 

私は極力この世界から逃れるように、夢も忘れるようにしているから、だんだん薄明のようになってきているけれど、以前は彼らの歌も轟音だったり、夢の教唆や叱責も激しいものだった。

 

そうして、東雲が近くなると、「そろそろ…」といって去っていくし、声も小さくなり、遠ざかっていくものの、完全に消えるわけではない。彼らは特定のリズムで歌うので、言葉のカウントとあわせるには、余分な音を繰り返さなければならないようで、例えば「人生スル」という表現も、「人生スルスル」というようになっていく。さらに、以前は意味不明の、「ベッタリ」という言葉が、「スルスル」のあとに必ずといっていいほどついたので、「スルスルベッタリ」という言い回しがよく見られて、これらも意味不明なので、私の苛立ちやストレスの原因にもなった。

 

他人が理解できない世界に「棲む」ということはひとを恐ろしい孤独に陥れる。私の余命は少ないのだという。そうして私は足掛け4年の衣食住、人づき合いについて考えられないほど厳しい制限を受けて半ば半病人のようになって、そこから普通の生活に復帰することもなく、

死んでしまうという恐ろしい未来が待っているようだ。そのあと、後生でも、酷いことになるといっているが、私はさまざまな検討のあと、転生というものはないと信じるようになったので、それはないと思う。

 

ひとつ言いたいのは、彼らは私のあらゆる過去、未来の可能性を知っているらしいので、いわゆるこれまで言われてきたような、アカシックレコードとかいったものはやっぱりあるのだなと思ったが、そうではなくて、皆、私の脳からデータをとっているという。つまり、私の脳は彼らのとってフルオープンアクセス状態になっているらしい。