こころの教会

台風16号が接近しているが、こちらはまだ爽やかな晴天が続いている。 が、日中はまだ陽射しよけに日傘がいるぐらいの、季節の境目。明日がお彼岸の中日なので、「暑さ寒さも」のたとえのようになっていくだろう。

 

著名なエッセイストで、近年ひどく人気がある文学者(故人)の伝記を読み始めたところだが、カトリック信徒である彼女に、クリスマスに教会へ行かなくていいの?と聞いた著者に、教会はわたしのこころのなかにあるからいいの、と言ったそうだが、それが私のこころに響いた。

 

今のメディアでは有名になり過ぎて、ちょっと実像とは乖離しているかな、と思うところもあるが、人間は毀誉褒貶があってあたりまえだ。多少懐疑的だった私だが、新たに伝記を読んでみると、いろいろな発見があり、大戦という時期を挟んで、欧州と日本という二つの文化のなかで生きた、それなりに稀有なひと、という印象が強まった。

 

誰かが書いていたけれど、彼女はキリスト教の信仰という点で新しい地平を発見しつつあったが、ミッション大学に奉職しているという身分が縛りになっていたかもしれない、と分析していた。そういうことはあったかもしれない。60代で亡くなったので夭折ではもちろんないが、おぼろげに見えて来た「その先」へ行けなかったのは残念だったろう。