大きな家具とかを除いて、家のなかのものをどんどん処分して、今はほとんどないに等しくなった。風通しがよいとはこういうことを言うのだな、と。いろんな色彩のものがごちゃごちゃしていたのがなくなって、自分でも快適である。
替わりの品物は買ってないので、不便なこともあれこれあるが、そのうちに、なくて困るものはそうそうないことがわかった。スリッパなんてその最たるもの。
日本人の家は、とにかくモノが多すぎるのかもしれない。贈答品やら引き出物、食器も和食器から洋食器、果ては丼まで、その数や種類も多い。普通の家では、健康器具みたいなものもあれこれあったりする。
気づいたのは、震災以降、とくに、非常時のためとして、ビニールカッパであるとか、
横から空気が入らないようにするメガネのカバーとか、放射能汚染対策も含め、過剰警戒ゆえに買い込んださまざまな防災グッズ、代替可能品をずいぶん貯めこんでいたことである。
毎日が臨戦態勢のような気持ちで暮らしていた日々。
あのころの切羽詰まった心境は、今思うとずいぶんと極端だったと思う。放射能汚染の問題は皆無ではないと思うが、それほど神経質になるレヴェルのものではないと。今では東北の野菜や魚も気にせず口にするようになった。
以前は関東のものさえ避けていたわけなのに、自分でも驚く変化だ。