居留守

東海から関東にかけて午前中大雨という予報だったが、内陸のこちらではさほど大雨ではなかった。やはり雨は沿岸部で常に多いようだ。

 

階下の斜め下の家は空き家になってから1年ぐらいだけど、先週ぐらいから大々的に業者がリフォームをしているらしく、ご迷惑をおかけしますというチラシみたいなものが一応入っていたけれど、結構大きな機械音がしたりすると、うるさかったりする。

 

作業員の出入りがあるわけなので、顔を合わせるのを嫌って、私は普段使っている入り口の階段を使わず、エレベーターのある、隣の入り口を使って、4階で降りて、2階分階段を降りる、という念のいったことをしている。

 

こんなご時世なので、出入りの業者といっても、そうそう信用できないからである。

リフォームは5月末までかかるらしく、結構な長丁場。

 

なぜ自分のところの入り口を使わないかといえば、こちらの入り口は階段だけで、

家は階段に対して対面した2戸だけ、それが8階まであるわけだが、高いところのひとはエレベーターを使うだろうし、この入り口を使うのは低層階のひとだけということになり、どこに住んでいるかわかりやすいからである。

 

この団地は古くて、後からエレベーターをつけたので、エレベーターといっても、1、4、7階しか止まらないおかしな構造なのである。とりあえず、エレベーターのある隣の入り口を使えば、何十もある住戸のどこに住んでいるか見当がつきにくということを割合早いうちに気づいて、周囲を見つつ、気になるときはいつもこの回り道をしてきたのであった。

 

家にひとを入れるなという警告夢をたびたび見たので、昨年は、火災報知器の点検も、排水管の掃除も、電気関係の安全チェックも、皆、居留守を使ってパスしてきた。

 

最初はなんだかドキドキしていたが、慣れると平気になって、今は宅急便とかも使わないので、誰がインターフォンを押しても出ないという徹底ぶりである。もし重要なことであれば、メールボックスに連絡票などを入れていくだろうし。

 

今日も5月のガス点検という葉書が入っていたけれど、これもパスする。

 

当初は、管理事務所から点検に協力してくださいとか、何か言われるかと思ったのだが、一切そういった強制や要請はないので助かっている。

 

そもそも、賃貸住宅ではあるが、管理事務所はマスターキーを持っていないので、立ち入ることはできないのである。すべて、借主に任されているというか、自由放任になっている。そのため、禁止されているペットを隠れて飼っていたりするひともかなりいるようだ。

 

古い割には安いとは言えない家賃ではあるが、うるさい大家がいないとか、敷地内の清掃や樹木の手入れが行き届いている、更新料なし、という利点があるし、家賃が安くはないということも、ある種防波堤になっていることもあるので、悪いことばかりではないと思っている。