春がきて、皆はお花見で浮かれているけれど、私は、立ち入り禁止の札がほうぼうにある不思議な地図のなかで、どうやって暮らしていけばいいのか、毎日が、難解連立方程式の答え探し。

 

洋服やスカーフは別に惜しくはないのだが、自分を構成していた一部でもあったわけなので、それが揺らいでいるのが、寂しくもあったりする。

 

もう何もかもあらかた自分の好きなものはなくなってしまったので、あとは何を着ようがどちらでもよいという心境だ。

 

でもローラアシュレイの洋服ぐらいで苦難にあったり、命を失ってしまうのだったら、自分の好みなんてもうどうでもいいとは思う。

 

洋服がなくなってしまったので、おともだちにいただいた着物のうちで普段着的な、木綿のものがあるから、いっそ着物にとかも思うが、それもこのあたりでは目立ってしまって、ちょっとよくないかもしれない。

 

そういえば、昔から、私は妬まれたり、嫌がらせを受けることが結構多かったので、

目立つことにとても神経質なのである。

 

奇妙な淋しい暮らしではあるが、母以外には、誰からもディスターブされない静かな生活は、夜毎の苦しい夢を除いては、それなりに幸せなのかもしれないとは思う。

 

春の愁いは深い。時として、すべてを捨てて逃走したくなるが、悪縁は逃走では解決できないらしい。そんななかで、おともだちは私の唯一の希望の光。