春雷

東京では桜は満開というけれど、家の周りも、日当たりのよいところは、満開どころか散り始めているものもあるが、だいたいまだ5分咲きといったところ。

 

でも、子供達の遊ぶ広場(通路なのだけど)や、あちこちに植えられている桜の霞のようなありさまは、平和そのもので、静かで、美しい。

 

そんな風景が、夕方、一転して、激しい雨風に襲われ、それに雷も加わった。「春雷」というのは風情のある言葉だと思うが、もうちょっと前、まだ寒い季節に雷が鳴るほうが普通で、桜の季節の雷というのはあまり聞かないが、桜と雷、というのも、またなかなか粋というか、よいものだと感じた。

 

激しい落雷が隣の駅あたりであったらしく、轟音がすごかったので、慌ててPCの電源を落としたりしたが、実際はもっと早く切らないと、雷被害の場合は間に合わないだろうと思う。

 

桜の樹の下で遊んでいた子供達も、突然の雷鳴と稲妻で、蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。これもまるで絵巻物の世界のようである。

 

桜も雷も、なんとなくこの世のものとは違う、異次元を感じさせるところがある。夕方の、慌ただしい「世俗の時間」が、自然が甦える「聖なる時間」にすりかわったようだった。