WASHIZU

寒気団が居座っており、寒い日。

 

出かけた繁華街でコーヒーを飲んでいたら、眼下を走る車にWASHIZUと書いてあった。何の業種なのか、店なのかも分からない。

 

ふと、この名前で思い出した。正教詩人のダニイル・ワシリスキー(こうも呼ばれていたらしい)は、横浜の生まれで、その後、札幌に移り住み、最後は埼玉県に住んでいたのだった。

 

生前、会ってみたかった人でもあるが、博覧強記で諸外国語に通じた巨人的イメージがあるけれど、また、深い信仰の人でないということでもないが、彼の語ることや、行動には、ちょっとした自己粉飾やけれんがあって、実像とはギャップがあるらしい。「工場労働」をしながら、ギリシャ語の詩を書いていたなどというのは、いささか神話化された話のようだ。

 

それも、詩人、芸術家だからいっこうに構わない。札幌時代はルパシカなどを着て「それっぽく」振る舞っていたらしい。北海道へ渡ったことを、「北辺流遇」と自ら言っていたというが、「流遇」とは、まさに、このブログのテーマ、EXILEの訳語である。

 

残念ながら、ワシリスキーの時代と違って、今の札幌にはそういった、けれんとか文学趣味のようなものは見受けられない。ワシリスキーがどうして埼玉に移り住んだのか、ちょっと興味があるところだ。単に、年をとると寒さがこたえる、ということかもしれないが。