ジレンマ

台風11号の影響で連日猛暑が続いて、外ではまるで熱風が吹いているように感じる。

 

今日は衆議院の特別委員会で安保法制の採決があったが、いつもはだらだらどうでもいい中継があったりするのに、今日に限ってはNHKの中継はなく、ネットで少し見てみたが、怒号やらプラカードで議場は大混乱、そのなかでの強行採決だった。あすは本会議。

 

これが単純に「戦争への一里塚」とは思わないが、議会制民主主義が機能しているとは思えない審議のありかただ。「ドゥーマ」(国会)ができたばかりのロシアみたい未熟さである。

 

私は以前は時と場合により必要な戦争はある、と「現実派」としての立場にたっていたが、最近は、これまで既知のものとして学校などで教わって来た公けの歴史というものの胡散臭さを感じるようになって、歴史的事件はかなりの部分、表に出ないある種の力、ーー謀略といってもいいかもしれないが、伏線みたいなものーーによって動かされていると感じ始め、あらゆる戦争には反対、と考えるようになった。だから、単純な平和論者とは一線を画す。

 

「戦争は、それを起こすことによって漁父の利を得る誰か」が仕掛ける場合が多いという点から、今回の法制には反対ということなのだ。また、一気に戦争になるわけではないが、「大義」なき近代の戦争が、多くの戦争神経症を生んできたことを考え、危惧している。それまでは「臆病者」と断罪されていたものがshell-shockedという名前で精神の病気とされたのは、第一次大戦以降の英国で、である。

 

安倍首相が退陣したら、見かけだけの好景気だとしても、それさえなくなることを

考えると、国民の反発が日本を実はとんでもない下降に導くかもしれないというジレンマがある。