白粉花

 

 

今日は寒いと言われていたけれど、そんなに寒さは感じず、いつもとは違った道を通ったら、白粉花が咲いていているのを見つけた。これは夏の花のような気がするけれど、遅くまで残っていてくれたのだろうか。子供の時、これを爪につけて色をつけて遊んだりたりしたことを思い出した。

 

ベランダのラベンダーもひと月前に一つだけ花芽がついて、「あれ、いつもは2月ぐらいの寒い時に咲き始めるのだけど」と喜んでいたら、それひとつだけであった。気の早い慌て者の花芽が一つだけ前倒しで膨らんだみたいだ。

 

隣の公務員住宅では広い空き地をいくつか囲って、花や草みたいなものを育てるスペースがあって「いいなあ」と思って、いつも通りすがりに見ている。あんまり熱心な人はいないようで、パラパラと何かが植わっているだけでちょっともったいないと思っているが。

 

日本の選挙とか政治を見ていると、本当にうんざりすることが多いので、このあいだから「毒消し」として、世界一貧しい大統領と言われるウルグアイ大統領についての本を読んだりしていた。世界一というのは誇張であって、大統領としては質素な暮らしということだが。

 

最初に読んだのは、夫人のルシアの伝記で、トポランスキーというラテン系でない、ポーランド人みたいな名前でふと手に取ってみた、ということなのだが。読んでみてビックリ仰天することが多々。ウルグアイの比較的富裕なエンジニアの家庭に育って、カトリックお嬢様学校へ行っていたようなルシアが、貧富の格差が激しいことに憤りを覚えて、過激派ゲリラ活動に身を投じ、逮捕されて13年も監獄に入っていたということ。

 

彼女は身分証明書などの偽造活動などを行い、自らも偽名で、さらにかなりの美少女であったのだけど、整形手術までしたとか、仲間の手引きでトンネルを掘って脱獄したとか、驚くような話ばかり。

 

同じ組織で非合法活動に加わっていて、もっと過酷な監獄に入っていた夫ホセと彼女は、政府が軍政から民政に移行してようやく釈放されたが、その後は、ずっと首都近郊で農園を営みながら花や卵を売って暮らしていたという。その後、二人とも政界に入って活躍したが、大統領府などには入らず、自分たちの手を作り上げた首都近郊の農園で暮らしたのだという。

 

大統領の方は父親が亡くなった貧しい家で、母と花栽培をしながら、花売り少年だったりした。

 

ホセ・ムヒカ貧困層に無償で住宅を提供したことなどもあって、中産階級の人からは批判もあるというが、ホセが釈放された時にスピーチをして、その内容が過酷な取り扱いについての非難や糾弾が一切なく、国の未来に向けてのメッセージ、特に若者に向けてなのか、「クスリなどやらずに、勉強や仕事に励んで、よい未来を創ろう」といった内容だったので、感動したと述べている人がいた。

 

彼の入れられた独房は2✖️1.4メートルという過酷なもので、全くの孤独の中に置かれて、ほとんど狂いそうだったのだという。南米の軍政の苛烈さを見る思いである。

 

こんな過酷な生活も送った夫婦だが、妻のルシアはとても穏やかで控えめな人、というのも元ゲリラ活動をしていた人とはとても思えない。でも、ずっと農園の中の小さな家で暮らしたいというところに、本当の幸福を見つけた人生という気がした。