クリスマス・メッセージ

いよいよ寒さも本格的になってきた。お正月用品がお店に並ぶようになり、年末の慌ただしさが街中にただよっている。

 

クリスマスは昔ほど日本では馬鹿騒ぎはしなくなったけれど、クリスマスが終わって、さあ、次はお正月という短期間の切り替えは日本ならではのもので、クリスマスの本来的意味は、クリスチャンはともかく、忘れられているがごとくだ。ケーキとチキンを食べる日になっているというか。

 

それに比べると、英国恒例の、女王のクリスマス・メッセージは、なかなか良い内容であった。日本の天皇の「みなさんの健康を祈ります」みたいな一般参賀のスピーチとは違って、社会に対する貢献の呼びかけがキリスト教精神に基づいて語られており、説得力がある。

 


Queen's Christmas message 2016

 

unsung heroesとか、ordinary people, small thingsとか、普通のなかにある偉大さ、目立つものだけがヒーローではないといったトーンが一貫してあって、以前にも女王はこれと似たようなことを、クリスマスメッセージで言っていたような気がする。

 

キリストの話もしているが、たしかに、彼の人生はhumblestな始まりであったし、公生活の前は、人に知られず、遠くへ旅することもなかったわけだった。

 

日本の天皇のスピーチは残念ながらencouragementにはなりえないが、これはたしかに国民を鼓舞する力がある。「英国王のスピーチ」ならぬ「英国女王のスピーチ」というわけである。「英国王のスピーチ」は女王の父親の話だったが。

 

"Inspiration fed the aspiration"というのも良い言葉だなあ、と。そういえば、Royal Balletの学校から、Royal Ballet本体に掛けられた渡り廊下のような「橋」があって、その名前をaspiration bridgeというのをかつてドキュメンタリーで見て、その命名に感心したことを思い出した。

 

どんな「志」も最初は小さなものから始まる…。