中世の冬

桜が美しい季節だが、こころは弾まない。

 

世界中がなにかおかしくなっている。ヨーロッパではポーランドで全面中絶禁止の法案が右派から上程されているし、リトアニアでも同様らしい。米大統領選でも争点になっている。

 

ポーランドはとくに酷くて、ヒトラーが中絶をポーランドに導入したから、全面禁止に反対するものは、ヒトラーの手先というような看板が立っていたりする。中絶がいいことだとは言わないが、あらゆる例外を認めないというのは明らかに行き過ぎだ。

 

日本はキリスト教の背景がないから、こういった行き過ぎは今のところないが、それでも、最近は防衛予算の増加や、出産・子育て支援ばかりが叫ばれて、富国強兵時代を思わせる。

 

結局、為政者は国民の「頭数」として子供が必要なのであって、ひとりひとりが幸福な人生を送れるようにというところまでは、考えていない。これの極端な例が、チャウシェスク時代で、たくさんの孤児が生まれ、孤児院での注射針などの使い回しで、彼らの多くがエイズにかかった。闇中絶で命を落とした女性も多いと聞く。

 

キリスト教は、すでにキリストの教えから離れて、社会的マインドコントロールの手段になってしまっている。不要な罪悪感でこころを操っているというべきか。

 

時計の針は、暗黒の中世に逆戻りするのだろうか。