Witch

明日は大雪になるらしい。備えが呼びかけられている。

 

ひどい風邪からようやく回復して、普通の生活ができることがありがたい。普段は何気なくしていることも、できなくなって初めて、その価値がわかる。

 

軽井沢でスキーバスの過酷事故があり、多くの学生と乗務員が亡くなったり、重傷をおったりした。彼らは木曜夜、原宿をバスで出たときは、まさか数時間後に自分が死ぬとは思っていなかっただろう。

 

ふと思ったのだが、たとえばサイキックな能力のあるひとは、ある程度はこうした事故を予見できるものなのだろうか。

 

草津翁のお祖母さんはそうした人で、娘がある日、阪急電車で出かけるのを止めたのだが、その日、電車は事故を起こしたということだ。

 

タロット占いの名手で、薬草にも詳しかったという。翁の資料を私に送ってきたN師は、この占いのエピソードが書かれた記事を送ってきたときに、わざわざ言い訳のように、「正教会の信徒がタロット占いをすることにあなたは驚くだろうが、当時の上流階級の慣習みたいなものとみなしてください」と書いてよこした。

 

こちらは自分でもカードを使うので、こうした言い訳めいたコメントをわざわざつけることが可笑しくもあったが、お祖母さんの腕前は有名だったようだ。

 

お祖母さんは、草津の薬草をいろいろ集めて、孫の病気が少しでもよくなるよう、いろいろおこなっていたらしい。

 

いわば、魔女というか、ヒーラーとしての素質を備えた、サイキックなひとだったのだろうと思う。

 

おばあさんは帝政期の女優だったわけだが、女優というのもある種「なりきる」という意味では巫女みたいなものである。

 

孫の病気という「運命」までは予見できていたかどうかはわからないが。

 

私が興味深く思うのは、翁の亡くなった日は聖大バシレイオスの祝日。バシレイオスは、レプラ患者を収容する施療院を初めてつくったひととして、ハンセン病史のはじめあたりに記されていることである。

 

テニスコートの墓地の話とともに、これは不思議な話である。