キアゲハ

お昼ちょっと過ぎ、胡椒を買いにちょっと出かけようと思って外へ出たら、黒い雲が西から峰のように湧いてきて、空を覆い始めていた。

 

家のなかに戻って外を見る。ベランダの向うをキアゲハが一匹横切って、ニセアカシアの葉叢に消えた。と同時に、バラバラと大粒の雨が降り出して、黄色くなり始めた八重桜の木の枯れた葉を打つので、はらはらと葉っぱが落ちていく。

 

昨日から、有吉佐和子が皇女和宮の降嫁を描いた小説を読み始めた。というのも、たまたま本屋で和宮が江戸へ降嫁する際に、中山道の本陣で和宮のための柩がつくられたという、ミステリーものを眼にしたからだ。

 

なんとそのミステリー作家は、その小説を書いてから、帯状疱疹にかかって悩まされ、それが今にも至っているとか、その他にも、はっきり書いてないが怖い事件が起こったらしい。

 

有吉佐和子のほうは、和宮が降嫁に不本意で替え玉を使ったという大胆な仮説らしいが、それは当時黙殺されたらしい。

 

孝明天皇がアサシンされたかも、というのは、神道学の教授さえ授業で触れていたから(こういうことを言うひとたちがいる、といった暗に批判だったのだろうと思うが)、

和宮に関しても諸説あっても不思議でない。

 

なぜ昭和33年に和宮墓所の発掘調査をしたのか不思議に思ったが、徳川家側が広大な墓所を国土開発、つまり西武の堤へ売却したため、墓を移さなければならなかった、その際の発掘ということだった。

 

副葬品のあまりない和宮の柩に入っていた湿乾板の写真に写っていた烏帽子、直垂姿の男性が家茂でないという説もあり、乾板の画像が蒸発して消えてしまったため、真偽は永遠に謎というのも、関心を集めるのだろう。

 

ツタンカーメンの墓を開けたときに、王の胸に王妃が置いた、青い矢車菊の花が外気に触れて一瞬にして粉々に散ったという話しを思い出した。子どもだった自分には、印象的な「青い花」だった。

 

有吉佐和子の本も古書店でまとめ買いをしてきた。なんとなくだが、このひとの提起したことや推論はあまりに鋭く、且つ、時代に先駆けていたので、アサシネされたのかも…とか。