猫とクマ

今日は終日雨。朝、雨が降り出した猫が原をのぞいたら、黒猫が一匹、背中を見せて座っていた。雨が冷たくはないのだろうか。

 

家に籠って古儀式派の本を読み終えた。いままでなんとなくアーミッシュみたいなものだと思っていた古儀式派がロシアの歴史の背後で大きな因子となって、陰に陽にの「陽」のほうはないのだが、動かして来たことに目を向けられたのは興味深い。

 

そして、ニーコンの改革というのも、オスマントルコの勢力拡大に対して、キリスト教圏でロシアに託された期待のようなものを担ったロシアのギリシャ寄り、西欧寄りの転換であり、また、政治的にはウクライナの併合などとも、同時期であった。そうしたコスモポリタン的な勢力拡大と反対のベクトルが、古儀式派となってずっと続いて来た。だから、問題は二本指とか三本指の問題では実はない。

 

エリツインも、ルーツは15世紀にノブゴロドにいた一族で、その後ウラルにうつってきた古儀式派らしいのだそうだ。ソ連が崩壊し、ウクライナも切り離され、また、ロシアは古層に還ったと見ることができる。

 

その時、そうした出自のエリツィンが指導者だったのは歴史の偶然だろうが、古儀式派がニーコン改革以前のロシアの国境と国家の概念を保持しているという点では興味深い一致だ。

 

また、プーチンの祖父が古儀式派と関係がある料理人とは聞いたことがあったが、プーチンの祖父はペトログラードのホテルアストリアではたらき、そこでラスプーチンにも会っているのだそうだ。また、20年代にはレーニン未亡人などの親族の世話を共産党サナトリウムで行っていて、しかし、非党員だったということだから、幹部クラスに重用された非党員というのは、多分古儀式派系だろう、と。

 

また、古儀式派系のサラトフのイコノグラファー、アンナ・プーチナがプーチンの遠縁にあたるのだという。

 

古儀式派を通してみると、ソ連崩壊の地下水脈も見えて、3Dのメガネを掛たように、歴史が立体的に見えてくる。

 

ずっと一人でいると、「ぬいぐるみ」など一人二役で喋るようになり、ウチの「動物たち」も古儀式派通になった。一匹はクマだし。