TPP Blue

紅葉の森のなかにいるような毎日。赤や黄色の鮮やかさが鮮やかすぎて、しかし、時として疲れをもよおす。

 

なんだか深い深い憂鬱が私をおそっている。世の中にはいいことも悪いこともあるが、

それは「こころの置き所ひとつ」という次元を超えて、よくないことが多すぎる。善悪というのも相対的なものだといえばそうだし、絶対の善を志向してひとはしばしば過ちを犯すということも事実なのではあるが…。

 

昨日(15日)テレビを見ていて、ニュージーランドTPP関連法案が議会で可決され、同国がTPPで最初に批准のテープを切ったという内容だった。この国では与党がTPP批准に前のめりだったが、一方で、国民や野党による反対運動も激しいようだったし、何より、13日夜(日本時間)に大きな地震があって、まだ被害の全容もわかっておらず、TPPどころの騒ぎではないはずなのだが、とざわざわした気持ちになった。議会は一院制ということで、与党が過半数で採決を押し切ったという。

 

と同時に、ニュースを見ていた瞬間、「あ、そうなんだな」と、非常に腑に落ちるというか、自分のなかで納得があった。地震、なのに可決でなく、地震、だから可決だったのだな、と。

 

2011年2月22日にも、クライストチャーチで大きな地震があり、語学留学中だった日本人が多数亡くなったので、日本でも大きなニュースが連日続いた。そのころ、囁かれていたのが、TPP反対運動の激しいところで人工地震を起こし、脅迫するという図式があるのだと。全体に震源が非常に浅いのも特徴的である、と。

 

当時は馬鹿らしいと一笑に付していたのだったが、こう度重なってTPPで揉めると毎度のように地震が起きて推進がすすむという構図があると、どうしてもそこに一連の流れが感じとれてしまう。日本の、中越地震(2004年10月)もその翌年7月に、激しい攻防の末に、郵政民営化関連法案が衆議院で可決されたという類似のパターンがある。その後、参院で同法案は否決されたが、小泉首相が国民に民営化の信を問うとして、8月にいわゆる「郵政解散」をおこなって、衆院総選挙となった。

 

反対した自民党議員は少なからずおり、新党を結成したり、無所属となったが、小泉自民党は、民営化に反対する候補者がいる小選挙区すべてに、いわゆる「刺客」候補を送り込こんだ。壮絶な選挙戦のことを思い出す。そして、9月11日に自民は圧勝し、10月に同法案は可決・成立されたのであった。

 

今でも、現在の安倍首相(当時、自民党幹事長)が反対議員に翻意をうながす説得を休憩時間などに熱心におこなっていた、国会中継の一場面が鮮やかに思い出される。

 

いわゆる、グローバリストの推進する、TPPや関税障壁撤廃に反対する力が強くなると、決まって地震が起こるのはやはり奇妙といえる。

 

郵政民営化で、「ゆうちょ」にあった巨額のマネーは外資にも開放されたわけだし、

日本独自のこのシステムで過疎地であっても小さな郵便局が地域のひとの財布となって

あたかも手足のようだったわけだが、それも次第に淘汰されていった。さらに、一番問題なのは、民営化した「ゆうちょ」の保険部門の「かんぽ生命」が、がん保険を売り出そうとした際にアメリカが認めず、アフラックがん保険のみが「かんぽ生命」で売り出されることになったことだ。

 

私にとってこの話は憂鬱のタネであり、郵便局でアフラックの「あひる」を見るたびに、ため息が出る。鴨南蛮にして食べてやる、とか。大味でまずいだろうけど。笑

 

アメリカから出されるいわゆる年次改革要望書The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)によって、建築基準法から、法科大学院(導入したが、司法試験の合格者を出せない学校続出で、失敗だった)、著作権強化、裁判員制度陪審制がモデル)、労働者派遣法改正(派遣労働者の規制を緩和)医療における混合診療まで、多分野での事細かな、米側の申し入れによる厳しい要求に屈してきた日本は、もはや独立国の体をなさず、アメリカの51番目の州と揶揄されてもしかたがない。

 

しかも、これらの要望項目は派遣労働や法科大学院のように、結果的に悪政、失政につながるものだった。(日米規制改革委員会と要望書は、2009年の政権交代による鳩山内閣誕生で廃止されたが、それは形式であって、内実は継続しているようだ)

 

今回チェックしてみると、あまりにも詳細で、しかも国民には全貌が公表されていない、この悪名高い「要望書」は、2001年から始まりであるが、前身はさらに遡り、1993年の宮澤首相とビル・クリントン大統領会談で決められたとのことだ。

 

だから、TPP以前に、過酷な要求を呑んできたわけだから、いまさらということもできるが、TPPが批准されれば、さらに一層、いわゆるISD条項でアメリカからの進出企業から、文化的障壁があるなどの訴訟を起こされて、違約金をむしりとられることになっていくだろうことは、火を見るよりあきらかである。

 

その意味で私は、グローバリストのクリントンより、トランプのほうがまだ支持できるのである。また、地球温暖化問題でも、トランプに一理ある。温室効果ガス理論がすでに破綻をきたしていることは、学術的にも実は指摘している研究者たちがでてきている。

 

アメリカが、というより、問題はアメリカだけでない、いわゆるgreedyなグローバリストが問題なのである。greedは、Seven Deadly Sinsのひとつでもある。彼らがキリスト教徒づらをするのはキリストを酷く愚弄してはいないだろうか。