うららか散歩

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                             <にゃんこ堂>

 

今日明日と、小春日和になるという天気予報。予報通りに、今日はうらうらと暖かい日だった。木枯らし一号が吹いてから着ていたキルティングのコートも今日は脱いで。

 

今日は、前から行きたいと思っていた、神保町のねこ本専門店へ。このお店は町の本屋が書籍通販に押されて売り上げが激減したころ、閉店も考えていたが、娘さんの提案で起死回生策として、ねこの本のコーナーをつくったらということで、コーナーを設けたところ、イベントとしてはあっても、常設猫本コーナーというのが珍しく、お客も増え、神保町の人気店になっている。今ではほとんどの本が猫関係。

 

行ってみると、交差点近くの、昔ながらの小さな店舗がそのままの本屋さん。いわゆるオシャレ系の本屋ではないのだが、品揃えはかなり充実しており、絵本などのセレクトもなかなか良い。

 

私は最近できるだけ本は近所の書店など、店舗で買うようにしている。どこも経営が大変だし、本はやっぱり手にとってから買いたいからだ。

 

今日は、「しろさびとまっちゃん」という写真集と、「ねこになってしまえばいい」というセラピー系?の本を買った。

 

しろさび、というのは、福島原発警戒20キロ圏内に住んで、人が立ち去ったあとに残された牛やダチョウ、犬猫といった動物の給餌・世話をボランティアでしながら暮らしている、松村さんという男性が、保護施設前で捨てられていたのをもらいうけた子猫たち、「しろ」と「さび」という姉妹猫のこと。

 

保護施設は原発事故で避難してきた犬猫の施設なので、そういう経緯がなくただ捨てられていた子猫たちは預かることができず、保健所送りになるところだったのを、松村さんがもらい受けて飼うことになったのだという。

 

警戒区域は立ち入り禁止なぐらいだから、被曝量もそれなりにあるはずだし、最初、この本をパラパラ見たときは、「えっ」こんなひとがいるんだ、大丈夫かと驚いた。

 

が、この写真集は、食べ物と寝ぐらを確保できて、あとは、自由に野山を駆け巡る、二匹の姉妹猫のいきいきとした姿、とくに、豊かな自然が印象的で、夏草の生い茂るはらっぱを駆ける姿などは、ほんとうに美しいとしか言いようがない。

 

人がいなくなった自然は猛威をふるう面もあるだろうし、野生動物も増えて跋扈しているというから、きれいごとばかりではないだろうが、それでも、ひとの姿が消えた動物天国のようでもあり、木も草もいきいきとして独特の自然の力づよさが感じられる。

 

私なども、福島産というだけで、おっかなびっくり、もちろん野菜も果物も自分では買ったことすらないが、こういう写真を見ていると、ひたすら忌避してきたこととはまた別の世界が、目の前に開けてきた感じがした。

 

ロシアやウクライナ警戒区域のなかにも、「サマショール」という頑固者といわれるおばあちゃんたちがいて、昔と変わらぬライフスタイルで、その地で暮らしているが、そういうのを思い出したりもする。

 

この松村さんというひとも、海外で多く紹介され(私は聞いたことがなかった)、「福島のラストマン」と呼ばれているのだそうである。

 

この二匹を飼うにあたっては、外にタヌキやキツネ、危険な小動物もいろいろいるので、松村さんはまず、屋根や木への避難を教えたのだという。

 

自分はこの5年、雨のしずくにすらあたらないように細心の注意を払い、食べ物や水にもある程度(当初は厳格に)気をつけてきた。それはそれで間違っていなかったとは思うが、当地でも、地べたで子供が遊んでいればため息をつき、いろんなことに目くじらをたてたりしていたが、人間の命というのはどこかそういったものを超えている部分もあるような気が、最近はしたりもしていた。

 

たしかに注意は必要だが、それに拘泥するあまりに、生きることそものが窮屈になったり、不安でがんじがらめになっていなかったか、と、飛び跳ねる二匹の猫の姿を見て

思ったのであった。

 

本屋から出て、ちょっと休憩をしたいと思い、どこか喫茶店(スターバックスとかでなく)はないかなと裏道をうろうろしていたら、錦華小学校裏あたりに、炭火焙煎のコーヒー屋さんが見え、「PianoForte」という名前だったので、入ってみたら、いわゆる音楽喫茶とはちょっと違い、モニター画面と高性能のスピーカーで、ネット上のクラシックのライブをダウンロードしての視聴なのだろうか、そういうのをやっているお店だった。

 

常連さんがほとんどらしく、その音量に驚いたが、コンサートホールみたいな感じ。

 

モーツァルトのピアノコンチェルトをピアニストが指揮者をかねてやっていたが、再生装置がいいと、これほどピアノの音が綺麗なのかと、呆然とした。たぶんそうかなと、あとでマスターにきいたら、やっぱりバレンボイムであった。

 

クラシックファンらしいおじさんグループや、ひとりの若いひと、やはりひとりできている中年女性とか、客層もバラバラで、リラックスした雰囲気であった。

 

夕方5時ぐらいだったので、もうかなり暗くなっている駿河台へ寄って、蝋燭をあげてきた。(聖堂内、外の聖堂)。この時間は拝観者ももう少なく、晩祷がはじまってもいないので、とても静かでよい雰囲気だった。境内に灯りもともって、外はもう暗く、この時間の御寺はまさに「誰そ彼れ」どき。歩むひとの顔も見えるか見えない時刻で趣があった。通路や入り口に黄色の百合がずらりと植えられており、夜目にも鮮やかであった。

 

帰りに、御茶ノ水橋の上で、ホームレスの自立支援が目的で発行されている「ビッグイシュー」という雑誌を売っているホームレスのひとから、一部買う。350円なのだが、買う人は少ないようだ。知らないひともいるのだろうけど。 

 

 

 

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