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歴史は繰り返す…?

毎日酷暑が続いて、もうそれが日常になってしまった今日このごろ。とはいえ、

連日35度ぐらいがピークで、大気の状態も不安定で急に雨が降ったりするので、外出には傘が欠かせないし、水や梅干し、シリアルバーのようにちょっとしたスナック類も持って歩くので、荷物が増える。

 

下山事件の映画を見た。81年の有名な作品なのであるが、DVDも現在出ていないし、上映の機会もめったにない作品なので、猛暑にもかかわらず朝から出かけた。

 

その甲斐あって、素晴らしい映画だった。モノクロームでなければ出せない緊迫感、また、往時の俳優たちの力量が卓抜で、いかにこの30年ぐらいで、日本人のレヴェルが低下したかを見せつけられた感がある。熊井啓監督は遠藤周作の「深い河」で魅了されたが、この作品はそれを凌いでいる。

 

また驚くのは、81年の作品であるにもかかわらず、総裁を殺害した者たちのプロフィールが、最近次々と出された書籍の新証言とほとんど一致していることだ。炯眼というべきだろう。

 

歴史は繰り返す、ではないけれど、安保法制が審議中の今夏、この映像のなかにも60年安保や樺美智子の死がニュースとして出て来るが(主人公は新聞記者なので)、樺美智子は当時から「圧死」ではなく「薬殺」と言われていたのか、と驚いた。

 

また、この「真犯人」を隠蔽すべく、捜査の強引な幕引きや妨害があったわけだが、証人を闇に葬ったり、脅迫シーンの連続から一転、オリンピックの入場行進(新聞社のテレビという設定だが)のシーンに展開していくところは、溜め息のでる素晴らしさでもあり、心胆寒からしめるところがある。

 

こうして「戦後の闇」を帳消しにしつつ、オリンピック、高度経済成長と日本が次の”繁栄”の時代に入っていくところを活写しているのだが、「オリンピック」が出て来るところが、なんとも言えず、「今」と重なっていて、不気味である。アナウンサーの熱狂した解説の声や、国旗を持つアベベの顔など…。

 

優れた芸術作品はしばしば予言的であると言われるが、これもまったくその部類だろう。これがDVDにならないのは、見て欲しくないひとたちがいるからだろう、たぶん。