Opium Wars and lesser gods

大陸から乾燥した風が吹いているとかで、昨日の湿気とはうって変わっての、爽やかな陽気。カラリとした風が心地よい。

 

偶然だが、私がサインシャインの石碑を見に行って先日ブログに書いたわけだが、今日の朝日新聞であの石碑に触れた記事があった。安倍首相についての連載記事、しかも、「系譜」という昨日から始まった項目であり、岸信介の紹介だから、巣鴨の話が出て来てもおかしくはないのだが。

 

この連載で驚いたのは、やり手の商工官僚として満州に赴任して、産業開発や国家統制に辣腕をふるい、東条等関東軍中枢とも深く関わった岸が敗戦で故郷に帰っていたが、GHQから逮捕命令が出て連行されるときに、踊る神様の北村サヨが岸宅にやってきて、祈祷と万歳三唱をし、3年ほど(拘置所)に行ってこい、そのあとの神の世で総理大臣にしてつかってやる、というお告げをしたのだという。岸一族の郷里がこの宗教の発祥の地とか。

 

安倍首相が前回政権を投げ出したときに、例の単立真言宗系の怪僧が「5年後にもう一回やれるから」と言ったのと、似ているではないか。一族の周りで跳梁跋扈する「神様系」人脈。

 

この記事の後半では、大東亜戦争を日本の侵略戦争というのは許すべからざる歪曲だ、という岸の論が大半を占めている。そして、東条らが処刑された翌日、岸が3年振りに巣鴨を出たとある(→まったくお告げの通り…)。が、どうして不起訴になったかは書かれていない。

 

この連載はニュースではないから、たぶんしばらく前から記事を準備してあったはずで単なる偶然ではあるが、奇しくも、昨日の国会での党首討論(英国議会に倣ったのか)で、共産党党首から、先の戦争が良い戦争だったと思っているのかと首相が詰め寄られて、ポツダム宣言のなかの、侵略戦争というあたりについてはつまびらかには読んでいないので何とも言えない、という発言をしたため、批判が出ている。

 

が、実際は、「”その部分”についてはつまびらかに読んでいない」と言っているわけで、ポツダム宣言を読んでいないのではなく、やはり祖父同様「侵略戦争」という宣言の表現に違和感があるということなのだろう。

 

実際のところ、共産党の質問も奇妙に思える。戦争に良い戦争も悪い戦争もあるだろうか。多分、あの戦争を正当化できるのか、という意味だろうと思うが、大義というのだって、無理矢理こじつけることだってできるのだから。

 

大英帝国だって、女王さまが海賊まがいに勅許状を与えて、七つの海を制覇するようになったわけだし、その意味ではもとはrogue countryかも。植民地の規模や奴隷労働を考えても、罪なき者はひとりもいないし、良い戦争も悪い戦争もないものだ。アヘン戦争だって、茶葉を手に入れるために、中国人をアヘン漬けにしたわけだし、未だに紅茶貿易は英国系が握っていて、私たちも高くてまずいリプトンやらトワイニングを飲まされていたりする…。

 

アヘンと言えば、先日来読んでいる松本清張の小説のもうひとつの伏線が満州国とアヘンである。満州国の財政は基本現地調達でその大きな部分をアヘン売買での利益が担っていたというものだ。実際に阿片総局という財団法人やら、阿片特売人や阿片密偵というものまでいたようだ。

 

小説ではあるのだが、大連駅でその密売が摘発された一件が一部書かれていて、そこで実名で出ているのが、前樺太庁長官平岡定太郎。三島由紀夫の祖父である。阿片の入ったトランクをやまとホテルのボーイが奉天行きに手続きをし、そのトランクの合鍵を一等車の平岡に渡したところを、巡査に差し押さえられたというもの。これが「大連阿片事件」の発端ということだ。

 

この小説は結構長くて、また、事件の渦中の宮中高等女官の弟が素人探偵よろしくあちこち調査に出かけるので、まるで一緒に旅をしているような忙しさだが、細かい会話などでいろいろ発見があったりする。「探偵氏」が訪れた下仁田の旅館にかかっていた軸のなかの歌に、「錦織る里」という言葉が結句にあって、「錦織る」というのは紅葉と錦織という渡来人の姓を掛けたもの、という説明があったりする。下仁田のある北甘楽郡の「甘楽」というのも、渡来人の移住地ということらしい。

 

そうか…。「にしこり」というのは、渡来系の姓なのだな、と妙に納得。テニスの錦織君、日本人離れしているなあと思っていたけれど。どちらにせよ、混血しているだろうから、あまり意味はないだろうけど、血は争えないという風貌でもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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